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『宇宙を駆けるよだか』川端志季 作【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

『宇宙を駆けるよだか』川端志季 作

■どんなテーマなのか?

ブスと美少女の身体が入れ替わり、元に戻る方法を探す。外見コンプレックスがテーマ。

■巻数と試し読み

全3巻完結。

■あらすじは?

第1巻

幼馴染のしろちゃんに告白されて恋人になり、初めてのデートに向かう小日向あゆみ。途中、同じクラスの海根然子が電話で突然自殺をほのめかす。ビルの屋上を見上げると然子が飛び降りるのを目撃して気絶。目が覚めるとあゆみは「海根然子」になっていた。

自分が「小日向あゆみ」だと言っても誰にも信じてもらえず、然子は自分の容姿が大嫌いであゆみの姿のまま生きていくと宣言。あゆみはしろちゃんに近づくために文化祭の大道具係になるが、火賀くんが代わる。

火賀くんはあゆみ(in然子)と話しているうちに、彼女は「あゆみ」であると信じる。しろちゃんもその後二人の入れ替わりに気づくが、「あゆみの顔が好きだから」と然子(inあゆみ)と付き合い続ける。しろちゃんは執拗に然子に「入れ替わる方法」を尋ねる。

ブスでデブで根暗だった然子はクラスから半分無視されていたためあゆみはひどい扱いを受けるが、入れ替わったことで受け入れられ始める。

あゆみは火賀くんと図書館で元に戻る方法を探しているうちに、謎の女・宇金真緒から入れ替わりの方法について教えてもらう。だがそれは「入れ替わりは一方通行であり、二度と元に体には戻れない」ということだった。

第2巻

絶望するあゆみに、どんな姿でも愛し続けると告白する火賀くん。そこにいたしろちゃんは「入れ替わりの方法」についてあゆみから情報を得る。

クラスで「火賀が海根のことが好き」と噂が流れ、それを聞いた然子は、醜いせいで人に好かれなかったはずの自分の体にいるあゆみが好かれることがあってはならないと、「あいつの人生を壊してやりたい」と、あゆみと火賀くんに憎しみを向ける。

醜かった自分に唯一優しくしてくれたしろちゃんに執着し、彼があゆみに告白したことを知った日の絶望で死んだ日を思い出す。しろちゃんは然子の気持ちを利用し、あゆみと火賀くんに復讐する手伝いをするフリをして、入れ替わりの方法を探る。

拾ったインコが、あゆみにその企みを教える。そして自分が入れ替わりによってインコの体に入った、天ヶ瀬という男だと告白する。

然子はしろちゃんに父親が神主をしている神社の巻物を見せる。そしてしろちゃんは「あゆみと火賀を入れ替える」と然子を騙し、自分と火賀の身体を入れ替えた。

第3巻

しろちゃんは火賀くんの身体に、火賀くんはしろちゃんの体に入れ替わる。それは「計画どおり」であったが、しろちゃん(in火賀)は然子に「事故でこうなった」と説明する。

しろちゃんはあゆみと火賀くん(inしろちゃん)に「別の人間を経由して体を取り戻す方法」を提案する。入れ替わりは一方通行だが、4人いればシャッフルできる。

然子を騙してシャッフルを実行するつもりだったが、あゆみの反対と然子の苦しみを理解したために、説得を試みることにした。だが、然子は翌日から行方不明になる。赤月の日は迫っており、あゆみは然子の母親にカミングアウトし、「赤月の森」にいるかもしれないと教えてもらう。

森の天文台で然子を発見するが、然子はあくまでも抵抗し、自分がこれまで外見のせいでどれほど苦しんだのかを訴えかける。然子の母親が現れてひと目見て「然子」だとわかり、ひっぱたく。

母親、そしてあゆみたちの「もうひとりじゃない」という言葉に、然子は元の体に戻ることに同意する。

■登場人物の紹介

小日向あゆみ:赤月町に暮らす高校1年生。陸上部所属でスラリとした体で誰もが認める美少女。しろちゃんから告白された。絵が下手で暗所恐怖症。コーンポタージュスープが好き。

海根然子:あゆみと同じクラスの女の子。ブスで太っており、友達がひとりもいない。以前からあゆみを羨んでおり、しろちゃんが好きだったので絶望した。父親が神社の神主で、神社の巻物に書かれていた儀式を試して入れ替わりを成功させた。

水本公史郎(しろちゃん):陸上部所属。勉強もスポーツも万能な優等生。あゆみの小学校からの幼馴染。ずっとあゆみのことが好きで告白した。意外と腹黒い。兄がいる。

火賀俊平:中学のときに転校してきたが、クラス委員だったあゆみと光史郎に親切にされて仲良くなった。あゆみにひそかに恋をしているつもりだが、周囲にはバレバレ。イチゴオレが好きで、丸文字を書く。人参が嫌いで犬が怖い。強い姉に振り回されている。


然子の母親:夫とは別居中でパートをしている。仕事が忙しく、おにぎりしか作らない。口やかましい。然子(inあゆみ)が行方不明になったとき、あゆみ(in然子)に真実を打ち明けられる。

インコ(天ヶ瀬 建造):然子の体になったあゆみの前に、突然現れた迷子のインコ。宇金真緒に「ハーシェルちゃん」と呼ばれる。中身は「天ヶ瀬 建造」という46歳の男性。偶然赤月の日に自殺を図り、飼っていたインコと入れ替わってしまった。最終回で宇金真緒と入れ替わる。

律ちゃん:あゆみの友達。然子(inあゆみ)の嘘を信じて、あゆみ(in然子)を目の敵にする。名字は「稲木」。

マリちゃん:あゆみの友達。名字は「土屋」。

宇金真緒:ゴスロリ姿の女性。入れ替わり前は「王地正隆」という男性だった。本物の宇金真緒は死亡。入れ替わりの方法を商品化して金儲けを目論む。最終回ではインコになる。

■入れ替わりのルール

・赤月の日に行うこと
・入れ替わりたい相手に見られていること
・必ず死ぬこと
・入れ替わった場合、損傷し死亡した肉体は治癒して生き返る
・なりたい相手が目をそむけた場合、入れ替わりできない
・死ねなかった場合、入れ替わりは失敗する
・入れ替わりは一方通行である
・同じ人間と入れ替われないが、別の人間を経由すれば元に戻るのは可能

■「赤月町」について

本作の架空の町で、あゆみたちが暮らす場所。赤月町の地形と光の反射による錯覚から真昼に赤い月が浮かぶ不思議な日を『赤月の日』と呼ぶ。なお、町の名物になっていて観光客がおしよせる。

■神社の巻物の内容

然子の父親が神主をしている神社の宝物。入れ替わりの方法について書かれている。然子は父からこの唄を教えられて、その内容を信じて実行した。

 

『廻る廻る 赤の日に まんまるおめめの そのまえで こちらの殻をあげるから そちらの殻をくださいな

廻る廻る昼の月 おかあさんとこ もどろうか 鳥は どこへもゆけますが 後ろ向きには飛べません』


■結末

「シャッフル」によってそれぞれが元の身体を取り戻す。あゆみは自分の素直な気持ちに従い、しろちゃんを選ぶ。然子は改心し、あゆみたちの友人になった。

■コメント

『赤い月の日の儀式』というオカルト要素と、『ブスと美人の体が入れ替わる』、そして2人のイケメンに命がけで愛される、という盛りだくさんな設定。

然子は「ブスに生まれた女の恨みつらみひがみ」を体現した存在として、「美人だというだけで苦労せずに楽に生きられる女」に復讐をします。

入れ替わりで理想の人生を手に入れられたはずが、然子の外見のままで愛されるあゆみを見て、結局すべての苦しみを外見のせいにできなくなります。

 

あゆみもまた周囲からブスだと扱われたことで、然子の人と見た目が比べられる劣等感や羞恥心、屈辱を初めて理解します。

ヒロインの恋人のはずのしろちゃんの影が薄く、火賀くんの優しさや熱い思いが読者の心をつかみ、結末では『なぜ火賀くんじゃないの!?』と落胆した読者も多いことでしょう。

しかし、最後まで読めばわかりますがあゆみは火賀くんのことを「友達として大好き」であって、それは決して恋ではなかったのです。恋する気持ち、というのは本人にもままならぬもの。あゆみにとって「好きな男性」はしろちゃんしかいなかった、ということです。

■作品への評価

ラストはやや駆け足で、数週間かけたはずの「シャッフル」があっという間に終わった。全体的にきれいに物語がまとまっており、悪役だった然子も心をいれかえて「いい子」になり、4人で良い関係を築いているので読後感が良かった。

 

おまけ漫画には「シャッフル」で入れ替わった登場人物たちの家族の戸惑いが、コミカルに描かれている。

ページの都合かもしれないが、あゆみがしろちゃんを選んだ理由についての掘り下げがあれば、読者の満足度が向上したはず。

 

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