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『新・児童養護施設の子どもたち~消えない傷痕』【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

『新・児童養護施設の子どもたち~消えない傷痕〜』榎本由美作

■どんなテーマなのか?

「児童養護施設の子どもたち」の新シリーズ。母に虐待され捨てられ、過酷な運命を生きる少女・擁子の物語。

■巻数と試し読み

1巻〜以下続刊。

■あらすじは?

第1話

擁子は母親の顔をよく覚えておらず、記憶にあるのはゴミ溜めのような汚いアパートの狭い部屋に、あふれかえるようなゴキブリのいる暮らし。保育園に預けられ友達と遊んでも「クサイ」と言われる。家では風呂の中までゴミだらけで、しかも熱い湯が出ない。「友達は絶対に呼ぶな」と母に止められている。

食事は用意されず、お腹がすくとその辺のビニール袋の中から食べられそうなものを漁るが、お腹を壊す。

母はある日仕事をやめたから保育園に行かなくていいと言い出し、「不満なの!?」と擁子に暴力をふるう。怒ったまま何日も出かけて、帰ってきたときにはお腹が大きくなっていた。

母はたまに食べ物を玄関に置いて去っていく。電気も水道も止められ、食べ物も水もなくなる。不意に帰ってきた母は部屋でいきなり赤ちゃんを産む。そして擁子を一切かえりみず、再び出ていく。部屋のドアは鍵がかけられて出られない。意識が薄れていく中で部屋に掃除屋が入り、擁子は発見されて救急車で運ばれ、命が助かる。

第2話

発見され、保護された擁子のことは「女児置き去り・監禁事件」としてニュースになっていた。病院で手当を受けながら初めて快適な環境に暮らす擁子だったが、児童相談所の一時預かり所へいくことになる。自分と同じような子供たちがたくさんいる施設で、並べられている食事に勝手に手をつけて怒られてしまう。

怒られたことで母に虐待された記憶が蘇り、「凍りついた瞳」になってぼーっとする擁子。しつけを受けたことがないため、職員たちにも持て余される。突然フリーズしてしまう擁子を研修生の琴川が理解し、面倒を見て擁子は集団生活に馴染んでくる。

第3話

擁子が出生届の出ていない「戸籍のない子供」だと発覚する。そして「勝俣ハウス」に引き取られることになる。だが、そこは異様な雰囲気が漂う施設だった。子供たちは「マイナスポイントになるぞ」と奇妙に怯え、ご飯を減らされたのは擁子のせいだと責めた。

園長の勝俣紀世子は「ポイント制」で運営しており、彼女を喜ばせるとポイントがあがりおやつや物をもらえるが、減点されるとご飯を抜かれてしまうのだった。園の子供たちに嫌がらせされ、マイナスポイントだらけになる擁子は、紀世子に口答えしてしまう。

「お母さんに逆らうと鬼婆がくる」と怯える子供たちの言うとおりに、おかしなお面を被った謎の人物に擁子はさらわれてしまう。

第4話

袋に入れられ、さらわれた擁子は「悪い子はこらしめないとね」とゴミ屋敷に閉じ込められたあと、焼却炉に入れられる。焼かれる恐怖で気を失ったあと、目覚めた擁子は「怖い夢を見たのね」と不気味に微笑む紀世子を見た。

だが、悲惨な体験をしてきた擁子には脅しが通じず、擁子は子供たちに「おばさんはおかしい」とみんなで証拠を見つけて何とかしようと提案する。擁子はわざと紀世子を怒らせて、自分を虐待している動画を撮影してもらう。だが、恐怖で支配されている子供たちはバラバラにされるのを恐れ、証拠の動画を消して擁子を追い出すことを選んだ。

第5話

「勝俣ハウス」を追い出され、一時預かり所に戻った擁子。だが戸籍がないために簡単に預かり先が見つからない。事件の取り調べを受けている母親に会いに行くが、無情にも「シ・ネ・バ・ヨ・カ・ッ・タ・ノ・ニ」と口パクで擁子を拒絶し、フリーズする擁子を見下す。

琴川は母親からどんな人生を送ってきたのか聞き出す。父親違いの兄弟たちがいっぱいいる貧しいゴミだらけの家庭。義理の父からの性的虐待、アル中で寝てばかりの母親、そして暴力に嫌気がさして金持ちそうな男とデキ婚。離婚して慰謝料をもらい街を出て働きながら赤ん坊を育てたが、部屋の中で子供は動かなくなっていた。

■登場人物の紹介

擁子:6歳。「ひまわり保育園」にかよっていた。母にネグレクトされ、アパートで衰弱死寸前のところを発見されて保護された。出生届が出されておらず、戸籍がない。部屋で本を読んでいたため、字が読める。

依子:擁子の母親。擁子に食事も与えずネグレクトの末、アパートに監禁して置き去りにする。擁子を置き去りにしたあと、れのんの部屋に同棲し、彼の子をみごもった。もうひとり子供を産んだあと去った。本名は「谷口都」。

れのん:依子の交際相手。依子の部屋を引き払うために掃除屋に依頼し、擁子が発見されるきっかけをつくった。

琴川:児童相談所一時預かり所の研修生。子供のころ、死にそうになって児相に運ばれた経験があり、擁子の「フリーズ」を理解する。擁子のことを気にかけ、親切に面倒を見る。

勝俣紀世子:「勝俣ハウス」の園長。戸籍のない子だと知って擁子を自分から受け入れた。「ポイント制」で子供たちをスパルタ教育し、「鬼婆」の姿をして恐怖で支配していた。

勝俣久:「勝俣ハウス」の副園長で、紀世子の夫。

■コメント

母親に捨てられ、アパートに監禁されていた壮絶な人生を送る擁子は考えられないようなネグレクトを受けたにもかかわらず、強い心をもった少女です。

「勝俣ハウス」での恐怖の鬼婆にも屈さず、みんなで協力して虐待の証拠をとったのはお見事でした。もとからゴミの山やゴキブリ、ドロドロの汚いものに慣れていたために嫌がらせで放り込まれても全然平気だったという擁子ですから、何が幸いするのかわからない(笑)

母親がありえないレベルでクズなため、擁子が不憫すぎてなりません。

■作品への評価

過酷な運命に放り込まれた少女・擁子は、母からの愛情も知らず、命からがら監禁された部屋から救いだされます。

児童養護施設でも恐ろしい「鬼婆」に遭遇するなど、その人生はまだまだ平坦なものではありませんが、芯が強い擁子は最悪の環境でも必死に生きようとし、淡々と自分の運命を受け入れています。

どんな苦しい人生でも、辛い傷跡が心に残っていても負けずに生き延びようとする擁子の姿を心から応援したくなる作品です。

 

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