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『漫画家、パーキンソン病になる。』島津郷子作【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

『漫画家、パーキンソン病になる。』島津郷子作

■どんなテーマなのか?

身体の異変に襲われた漫画家がドクターショッピングを繰り返し、「パーキンソン病」だとわかったのは7年後。手術し、現在もリハビリに励んでいるひとりの女性の難病体験記。

■巻数

全1巻完結。(ぶんか社コミックス)

■あらすじは?

不摂生な生活の末、異変が起きる

漫画家・島津郷子は雑誌の連載漫画に追われ、毎日原稿用紙に向かい不摂生な生活を送っていた。やがて右半身がだるくなり、漫画家にとって大事な右手の震えが止まらなくなる。神経内科医にかかり「休養が必要」とだけ言われて薬をもらうが、飲み続けても症状はひどくなる一方。

手の震えだけではなく、感情もおかしくなる。人前で涙が止まらなくなり、久里浜のマンションでひとり休養をとる。友人の亡くなった父親が「パーキンソン病」で同じように手の震えがひどかった、と聞きその病名が気になるようになった。

パーキンソン・ノイローゼ?

薬をやめたことで怖くてじっとしていられなくなり、同居人・カイに付き添ってもらって精神科へ向かう。気分が少し良くなったが、震えはやはり止まらない。ほかのクリニックを紹介されて行ってみると精神的なものではないからと再び神経内科へ回される。

「パーキンソン・ノイローゼ」と聞いたこともない病名を診断され、その頃には精神的に日常生活も送れなくなり入院する。マドパーという薬を処方されるが、医者から「あの薬が効くのはパーキンソン以外ない」と聞いて愕然とする。

淡い恋心

男性ナース・Sは病棟の人気者で、彼流のスキンシップ「おまじない」と言って、郷子の手に触れた。彼は患者たちの話し相手になり、いつも肯定的に受け止めてくれるSに郷子はほんのりと恋心を抱く。

先生にわかってもらえない苦しみ

退院後、自宅療養をつづけていたが、紹介されてパーキンソン病の本を出版しているW先生に診断してもらうことに。だが、医師の態度に郷子は信頼できないものを感じ、「パーキンソンではない」という診断も受け入れられない。

精神的にボロボロになり、ほかの医者も訪ねてみるがどの医者も納得のいく答えをくれず、「マドパーが効くなら私はパーキンソンのはずだ」という疑念が消えない。しかし入院して検査をした結果「パーキンソンではありません」と告げられる。

やっと判明した真の病名

パーキンソンではなかった、と診断されても症状は楽にならず、精神科に通ったり新しい病院を探したりを繰り返す。だがある日パーキンソンであれば体が動かなくなるという薬を処方され、やはり体が動かなくなりW先生からやっと「パーキンソン病です」という言葉をもらう。

執筆を断念すべきか、そして手術

長年疑いを持ち続けてきたパーキンソン病だと判明したが、やはり落ち込む郷子。自分の病名を聞いたら、みんなが自分から離れていくのではという強迫観念にさらされる。バリバリ仕事をしていた頃の自分にはもう戻れない。

「もう描けない」と考えると涙が止まらなくなる。けれど同じ病気のマイケル・J・フォックスの著書を読んだり、編集者からの励ましをもらい、病気を克服するために手術を考えるようになる。

■登場人物の紹介

島津郷子:漫画家。1991年から「YOU」で著作「ナースステーション」が人気絶頂だったが、2001年から体に異変が起きる。複数の病院にかかるが病名がわからないまま入退院を繰り返し、7年後に「パーキンソン病」と診断され、手術する。

カイ:郷子の同居人。体調が悪い郷子の病院の送り迎えをして付き添い、陰ながらサポートする。

男性ナース・S:精神科病棟の人気者でロン毛。患者にタッチする癖がある。郷子の退院時期に病院を辞めることに決まっていた。

若先生:精神科に入院していたときの担当医のひとり。のちに脳神経内科で再会した。その後異動して救急室に配属される。一匹狼タイプ。

■結末

症状を緩和できる脳手術を決意した郷子。すでに手術を受けた患者から「この手術は震えに最も有効」と励まされ、迷いがなくなる。しかし震えが出てきて精神が不安定になり、手術の直前まで不安と恐怖にさいなまれた。手術は成功し、手のふるえがなくなる。

パーキンソン病を発症してから11年、声を失い筆談しかできないが、現在はリハビリに励みながら穏やかな日々を送っている。

■コメント

原因不明の体調不良に悩まされ、あちこちの病院を渡り歩いても何の病気なのかわからないという不安。そして、「パーキンソン病」だとわかったあとに、周囲から見放されるのではないかという恐怖。

作者の弱さについても隠さず正直に描かれているため、批判的感想も多いですが病気になった当事者でしかわからないこともあるはずです。また、無理やり「感動話」にまとめられていない点が逆に良いと感じました。

ただ、作者を陰でいつも支えてくれる同居人・カイさん(彼氏?とは書かれていない。あくまで『同居人』とある)について、もう少し感謝してもいいのでは、と個人的に思います。

何があっても見放さず、手術にも付き添い、身体障害者手帳も代わりに申請してくれたりと面倒を見て、たいてい一緒にいてくれています。

「私を田舎に置いて東京へ帰る」と恨んだり、家族でもない恋人でもない赤の他人にここまで世話になってこの扱いは・・・という描写でした。深く感謝しているけれども、漫画では描かれていないだけかもしれませんが。

最後に。キツイことも書いてしまいましたが、島津先生が難病を患いながらも必死に現在も仕事に取り組む姿勢には感服致しております。

■作品への評価

パーキンソン病の闘病記、というよりも病名のわからない難病に苦しむ女性が、「パーキンソン病」だとはっきり病名を診断されるまでの体験記です。ですから現在同じ病気で苦しんでいる方やお身内のいる方にとっては、病気を理解したい、参考にしたいという内容ではありません。

パーキンソン病にかかった女性が適切な診断を受けるまでにどんな苦しみを抱えて生きてきたのか、患者がどのような気持ちで悩んでいるのかがダイレクトに伝わってくるナマの体験談と言えるでしょう。

 

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