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『イグアナの娘(漫画版)』萩尾望都 作【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

『イグアナの娘』萩尾望都 作

■どんなテーマなのか?

生まれた長女がイグアナにしか見えないという母親に、妹と比べられ差別される娘。母娘の葛藤を描く。他、親子関係をテーマにした短編漫画集。

■巻数

全1巻完結。表題作を含む6話の短編集。

 

■あらすじは?

イグアナの娘

待望の女の子が生まれ、娘・リカと対面した母親・ゆりこはソレが「イグアナ」に見えてパニックになる。化物のような我が子に「嘘!違う、トカゲだわ」と拒否するが、周囲の人には普通の人間の娘にしか見えていない。次に生まれた娘・マミはかわいい女の子で、ゆりこはマミを偏愛するようになる。

妹は洋服を買ってもらい可愛がられるのにリカだけは、何をしても母に怒られる。あからさまに姉妹間差別をする母親に、リカはいつしか「あたしはイグアナ」と思うようになり、大人になったらガラパゴスに本当の親を探しに行こうと考える。

大学生になったリカはモテるようになり、ゼミの男子に誘われるが「イグアナだから食っちゃう!」と拒んでいた。だが、体が大きくて強そうな牛山一彦と出会い、「この人なら大丈夫」と結婚する。彼について札幌へ移住し、初めて幸せを実感するリカ。

やがてリカに娘が産まれるが、その子は普通の人間でしかも母親に似ていた。娘にまったく愛情を感じないリカは、自分はやはり冷血動物のイグアナなのだと怖くなる。

帰ってくる子

交通事故で幼い息子を亡くした母親は、毎日「おかえり」と息子・ユウちゃんを出迎えて話しかけるフリをしていた。兄のヒデは、もういない弟にばかり夢中になっている母にもどかしさを感じながらも、弟の幽霊が見えていた。

カタルシス

高校生のゆうじは、母親からの異常な束縛に息苦しくなり何度も無断外泊をしていた。このままでは親のロボットになってしまう、と逃げ出すことをやめられないゆうじのもとに、従姉妹のともよが相談に乗る。ゆうじは仲が良かった女友達を亡くし、母親のせいで彼女の葬式に出られなかったことがトラウマになっていた。

午後の日差し

「夫婦なんて他人だよ」という夫の言葉で、主婦として尽くしてきた自分の価値がわからなくなる若村賞子。料理教室で25歳の好青年・海部に出会い、親しくなる。自分のことを「他人だ」と言った夫は傲慢で浮気もし放題。賞子は夫の世話がバカらしくなり、優しい海部に惹かれていく。

学校へ行くクスリ

高校生のかつみが目覚めると、人々が電化製品や動物の頭をつけていた。唯一人間に見えたのが、クラスメイトの中川マユミ。彼女からもらった薬を飲むと、まわりがやっと普通の人間に戻るが、そのかわりマユミがお花をつけた植物人間に見えてしまう。

友人K

クラスのリーダーの主人公は、Kがやってくるまでは学年トップの成績で運動でも誰にも負けなかった。気まぐれそうに見えるKは、なんなく主人公のことを追い越してしまい、女子からもモテるようになる。目障りなKをいじめた主人公だったが、ある日トラックにひかれかけたKを発見して助けようとしたものの、拒絶される。

■イグアナの娘の登場人物の紹介

青島ゆりこ:リカとマミの母親。長女のリカのことが「ガラパゴスのイグアナ」に見えてしまう。マミは普通の女の子に見えているため、マミを溺愛しリカを嫌う。

パパ:普通のサラリーマン。娘たちは普通のかわいい女の子に見えている。

青島リカ:長女。生まれたときから母親に「イグアナ」と呼ばれ忌み嫌われて育つうちに、本人も自分のことをイグアナだと思うようになった。母親以外の人間には美少女で、IQも高くスポーツもできる。

青島マミ:次女。リカと比べて露骨に溺愛され、姉を見下すようになった。勉強はあまりできない。

牛山一彦:大学のゼミでリカと出会い、結婚した。札幌出身。

■イグアナの娘の結末

娘を愛せない恐怖に怯えていたリカのもとに、母親の訃報が届く。なくなった母の顔を見たリカは、その顔が自分と同じ「イグアナ」であることに驚き悲鳴をあげた。そしてリカは、本当は母が魔法使いに人間にしてもらったイグアナ姫だった夢を見る。

■コメント

生まれた娘がイグアナに見えてしまう、というシュールなお話。しかも、母親と本人にしか「イグアナ」であることがわかりません。

なぜ、母親はこんなにも娘を嫌いいじめたのか。それは自分自身がイグアナであることを認めたくなかったからなのか・・・。周囲の人たちはリカのことを「美人な娘さん」と見ているだけに、その差がエグいです。

ストーリーを額面どおりに受け取ると異常なだけの話ですが、母と娘の愛憎の寓話だと考えればさらに話が深まります。自分によく似ているからこそ憎らしい、自分の欠点を見せつけられているようで娘に憎しみを感じてしまう母親。

リカは自らも母親になり、「母もイグアナだった」という物語を受け入れることで長年の葛藤と苦しみから解放されます。愛そうとしても愛せない我が子。初めて母と娘は「愛せない苦しみ」を共有し、和解できたと言えます。

■作品への評価

衝撃的な表題作「イグアナの娘」を始めとして、息苦しいまでに母に縛られる子供の苦しみ・葛藤を描いた短編漫画が収録されています。

もっとも大胆な設定は「イグアナの娘」ですが、母親からの偏愛と執拗な束縛を受ける「カタルシス」など、親子の関係にひそむ深い闇が胸に迫ってくる作品ばかりです。

「すべての幸福な家庭は互いに似ているが、不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である」と文豪のトルストイが書いたように、幸福ではない家庭で起こっているさまざまなドラマが、この漫画でも表現されていました。

誰しも幸福な家庭で生まれ育ちたいと願うものですが、そうでない人もいる。そんな思いを抱えている方におすすめしたいお話です。

 

 

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