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『ひめゆりの歌が聞こえる~女の戦争哀史~』【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

「ひめゆりの歌が聞こえる~女の戦争哀史~」安武わたる 作

■どんなテーマなのか?

戦時中に生きた女性たちの身に起こった出来事。戦争に巻き込まれた女の悲哀の物語集。

■巻数と試し読み

全1巻完結。本作は短編集でぜんぶで4作品が収録されています。 

※まんが王国先行配信作品。最速で読めます。

 

>>「ひめゆりの歌が聞こえる」無料試し読み

 

■あらすじは?

第1話「ひめゆりの歌が聞こえる」

1945年3月。太平洋戦争末期に沖縄師範学校女子部の生徒たちは「ひめゆり学徒看護隊」として戦場へ派遣された。クラスを率いる軍人の娘・天願十美子は、クラスメイトたちから「非国民」と蔑まれていたユタの家の娘・平良松子を陰口から守ってやる。

戦争は劣勢で、十美子たちは人手不足・薬不足の中で36時間勤務で倒れるまで傷病兵の看護に当たった。自然洞窟を防空壕兼病院として利用していたため環境は劣悪で、外に出ると敵機に爆撃される。

松子の不思議な「千里眼」の力により、十美子は爆撃から助けられたが、「日本は負ける。ひめゆり部隊は命を落とす」という予言を告げる松子が許せず、十美子は「非国民」と罵ってしまう。だが本土から見捨てられた沖縄は「捨て石」にされ、十美子たちのいる部隊も撤退。塹壕でイラついた兵隊に松子は「非国民め」と敵兵のいる外へ追い出されてしまうが・・・


第2話「敦化事件」

1940年8月。満州吉林省の敦化市で日満パルプ工場で働く夫についてきた妻・堺美和子。夫の洋史は無口で、結婚して1年になるが何を考えているかわからない。満人に親切にした夫はスパイだ、と取り調べを受け、美和子までハブられる。

だが、敗戦を迎えた途端に現地の満人たちは暴徒と化して襲ってくるようになり、さらにはソ連兵までもが暴虐の限りを尽くした。日本の居留民は男女別に監禁され、特に女は筆舌に尽くしがたい悲惨な目にあわされた。このままなぶり続けられるよりはーーと集団自決をしようとしたとき、美和子は「あの人に会うまでは死ねない」と生きることを選ぶ。

 

第3話「兵隊女房」

富塚小枝子は名のある旧家の娘だったが、父が身代を潰し、病弱な兄に大金がかかるため母から金と引き換えに「特殊看護婦」になるようにと南洋へ売られた。南洋での仕事は「兵隊女房」で、藤川少佐をはじめとして、将校たちの間で売れっ子になる。

護衛役に命じられた須田一等兵は小枝子に親切に接していたが、そのことが原因で藤川少佐の不興を買い、劣悪な慰安所へ送り込まれてしまう。須田もまた転属させられる。だが、日本から兄の訃報が届き、絶望した小枝子は銃弾の飛び交う戦場へフラフラと歩き出し・・・。

 

第4話「子供のためなら ヨイトマケの唄より」

昭和27年。夫を亡くして後家になった下村トモ代は、幼い娘・淳子を養うために派手な身なりをして飲み屋で働きながら客を取っていた。ある日、客のひとり渡辺が親子そろって面倒見てやるというので本気にしたものの、妻子持ちだとわかりだめになる。

淳子はクラスメイトから「ケバい母ちゃん」と母親のせいでいじめられおり、ヨイトマケで泥んこになって働く女たちにあこがれていた。いじめの現場を見たトモ代はいじめっ子を追い払うが、娘は母親が何をして稼いでいるのか理解しており、怒りをぶつけて暴れたが車にひかれてしまう。

トモ代は車の持ち主がまっとうな夫婦だと知り、娘を引き取ってほしいと願うが・・・

 

■登場人物の紹介

「ひめゆりの歌が聞こえる」

天願十美子:沖縄師範学校女子部の級長。軍人の娘で生真面目な性格。ひめゆり学徒看護隊としてクラスを率いた。

平良松子:ユタの家の娘で「御嶽」を守る役目を祖母から継ぐ予定だった。「千里眼」の力により予知能力がある。クラスでは「非国民」と陰口を叩かれる。

岸田軍医:十美子たちが派遣された戦地の軍医。女子学生たちに横暴に振る舞う兵隊から十美子たちを守る。

「敦化事件」

堺美和子:20歳。父親が戦死し、家計が大変だったために口減らしで結婚した。夫について満州へ渡ってきた。

堺洋史:31歳。日満パルプ工場技術主任。孤児で家庭を早く欲しがっていた。敗戦後の混乱で妻と離されるが、親切にした満人によって逃亡した。

武本利代:愛国婦人会会長で工場長婦人。竹槍訓練で張り切る口うるさいおばさん。

須崎初江:元水商売で後妻。モンペがダサいと嫌がり、おしゃれで色気ある女性。ハブられた美和子に親切にしてくれた。

「兵隊女房」

富塚小枝子:旧家の娘、16歳。病気の兄のための借金のカタに南洋の「太平館」へ「特殊看護婦」として売られた。藤川少佐に「白菊」と源氏名を与えられた。泣き虫で須田から「泣きみそ」と呼ばれた。

須田信一:一等兵。小枝子の護衛役に命じられる。爽やかで優しい青年。

藤川少佐:将校のひとりで、小枝子に執着する。嫉妬深く乱暴な性格。

「子供のためなら ヨイトマケの唄より」

下村トモ代:戦争から帰ってきた夫は病弱で亡くなり、女手ひとつで娘を育てるために客を取るようになった。

下村淳子:小学校4年生。母親のことでクラスメイトからいじめを受けている。

渡辺:不動産屋。下村親子の面倒を見ると大見得を切ったが、実は妻子持ちだった。

加東夫妻:道路に飛び出した淳子を引いてしまったことが縁で、トモ代に頼まれて淳子を引き取る。

■コメント

安武わたる先生の漫画には、いつも「虐げられた女性」への目線が描かれています。

本作においても、戦時下で女性を人とも思わない残虐非道なことがまかり通る時代に生きた女性たちの無念が伝わってくるようなお話ばかりでした。

「敦化事件」は話には聞いていましたが、こうして読んでみると本当にむごい。同じ人間に対して、どうしてこんなことができるのか。

実際の事件は漫画に描かれている以上に残忍なことが行われており、気になる方はググってみてください。ただ、女性には耐え難い内容なので、心臓が弱い方は調べないほうがいいかも・・・。


■作品への評価

戦争で傷つけられた女性たちを描いたこの短編漫画集は単純に「女性たちは戦争のあった時代に、こんな非人道的な目にあわされた」だけで終わるお話ではありません。

 

「ひめゆりの歌が聞こえる」で友のために、戦場で松子を背負いながら御嶽を目指した十美子の友情。

 

そして、「敦化事件」での悲惨さを経験しながらも夫のために「生き抜く」ことを選んだ妻の決意。

 

邪険にされながらも家族のために身を捧げた「兵隊女房」のヒロイン・小枝子の強い家族愛と献身。

 

「子供のためなら ヨイトマケの唄より」では、娘を生きがいにトモ代が見せた、どんなことでも耐え抜く母親の強さ。

 

悲哀だけではなく、女性の強さとたくましさが同時に描かれている作品たちでした。

 

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