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『愚者の皮 チガヤ編』草野 誼 作【ネタバレ結末】

■タイトルと作者

『愚者の皮 ―チガヤ編―』草野 誼 作

■どんなテーマなのか?

大金持ちの醜い男に売られた花嫁・チガヤが、夫の激しい嫉妬に悩まされる美醜と夫婦愛を問う物語。

■巻数と試し読み

1巻〜3巻以下続刊。ストーリーな女たちで連載中。

■あらすじは?

第1話「嫉妬深い男」

8人の兄たちに連れられ、山の主・セキのもとへ嫁がされるチガヤ。兄たちは結納金と引き換えにセキに売られたのであった。セキは大金持ちだったが近郊で最も醜い男だった。

チガヤはセキの顔を見ても恐れず、妻として一緒に暮らす。セキは手を出してはこなかったが「男に近づくな」と厳命する。セキはチガヤを愛するが、自分の顔にコンプレックスを抱いていたため触れることができない。

チガヤはセキを安心させるため、結ばれる日まで家を出ず男性と口をきかないことを約束した。だが、兄たちが訪れて襲われ、その姿を見たセキは嫉妬に狂い地下の暗闇にチガヤを閉じ込める。

第2話「妻籠」

日の刺さぬ地下室に閉じ込められたチガヤ。セキはこれで、チガヤをほかの男にとられる心配をしなくていいから幸福だと告げる。

チガヤは地下から出すように説得するが、セキは閉じ込める代わりにどんな贅沢もさせるといって聞かない。チガヤは脱出するため、自ら動き出す。

第3話「永訣」

鳥籠の鳥のように飼われることを潔しとしないチガヤは、自らの髪を編んでちぎり、ロープにして籠をつないで組み立てて台にした。

その頃、セキは村の土砂崩れ埋まった子供を助けて、村人たちから「奥様はあなたに恋をしている」という言葉で目が覚めてチガヤを地下から出そうと走っていた。しかし時はすでに遅く、足を滑らせたチガヤは転落して大怪我を負っていた。

第4話「偽りの献身」

チガヤは頭部に怪我を負い、両目の視神経が切断されていた。セキは治せるならいくらでも金を出すと医者に頼む。命は助かったが、チガヤは失明してしまう。セキはつきっきりで看病して献身的だったが、チガヤは自分が視力を失い、自由に動けないから嫉妬しなくなったのだと考える。

第5話「屈辱のゲーム」

自分に心を開こうとしないチガヤに思い悩むセキ。病院の女師長・伊集院のアドバイスで「金」「革」「竹」の寝台から好きな寝台で眠るようにチガヤに命じる。「金」を選んだその時、セキはもはや遠慮はしないという。

かろうじて「革」を選択し続けたチガヤであったが、セキは執拗に自分のものにしようとする。そしてチガヤは突然、不思議なメッセージを受け取る。

第6話「接続」

見えない目に、突然浮かび上がってきた文字。「ホスウニチュウイ」という言葉のおかげで、セキが用意した3つの寝台のからくりを見破った。「竹」を選び、ぐっすり眠るチガヤ。そのメッセージは刈萱という青年が送ったものだった。

第7話「刈萱」

白杖を使って歩くことに慣れてきたチガヤ。散歩しながら、自分の眼が誰かと繋がっていることに気づく。チガヤに風景は見えないが、刈萱がチガヤの眼を通して見ているのだった。

第8話「面影」

盲目の彫刻家の少年・刈萱は、24時間ずっとチガヤの眼とつながっていた。チガヤは彼にさまざまな風景を見せようとする。「誰かの役にたっているなら嬉しい」と喜ぶチガヤ。

その様子を不審に思ったセキは「よからぬ妄想をしているな」とチガヤに迫る。刈萱はチガヤに自分の言葉を伝えるように指示し、セキから逃れる。

第9話「チガヤの贈り物」

チガヤを自分のものにできず、悶々としてチガヤに似せた人形をつくっていたが、伊集院に呼び出される。伊集院はチガヤに似せた服装とメイクを施した女たちを与えるが、セキにとって意味はなかった。「千茅はわが心の中の乙女である」と。

一方、チガヤは刈萱との会話を通して目の見えない生活でも生きて行く方法を教わる。そして刈萱は盲目だった自分がチガヤのおかげで初めて鮮やかな世界に触れられたと感謝した。

第10話「逢いびき」

チガヤは、時間を決めて刈萱と会話していた。セキが食事を取らずにずっと猫用の梁の上にじっと座るようになり、家政婦たちも怯えていた。憔悴しているセキを放っておけないチガヤは、刈萱に料理方法の指導を受けてセキのためにスープをつくった。

セキはスープを飲み干し、チガヤに対して二度と卑劣な手段は使わないことを約束した。しかし、他の男のものになることがあればふたりで自決すると告げる。

第11話「多芸志」

刈萱の姉・多芸志は盲目の弟のサポートをしてギャラリーで作品を販売していた。チガヤはセキと共に山に戻り、山主の妻として仕事を手伝う。

チャリティーの集まりに参加したチガヤは、息抜きに刈萱と会話する。しかし刈萱は「危険だ」と忠告し、夫のもとへもどるようにいう。弟とチガヤのつながりを知っていた多芸志は恋を我慢するなと刈萱に言うが、刈萱は「友達でいる」と約束したからと思いを封印する。

第12話「かたわれ」

セキの作業場の炊き出しの準備を手伝うも、心ここにあらずといった風情のチガヤ。一方、セキは「これぞわれらが主様」と称えられるほど威風堂々と働き、村の尊敬を集める。

伊集院はセキが「妻と心の中で愛し合っている」というのを馬鹿にするが、セキはゆるぎない信念をもってチガヤこそが「運命の妻」だと一蹴した。

チガヤは、刈萱が自分の目に映るものを彼女にも見せられるのではないかと気づく。前に閉じ込められた室に自ら下り、刈萱に確かめるチガヤ。刈萱は「僕達は何かのかたわれ」ではないかと話し、チガヤは「神経の交叉」をしようと提案する。

第13話「交叉」

刈萱に「交叉」をしようと持ちかけるチガヤ。五感を解放したチガヤは、刈萱がいる丘の景色を見た。刈萱もまた、チガヤのいる部屋を見る。そしてふたりは幼いころから無意識に「交叉」しあっていたことに気づく。

本当の「出逢うべき相手」が刈萱だとわかったチガヤだったが、刈萱はこれきり自分を忘れてセキの妻として生きるように勧める。そこに「つがいのあらまほしき匂い」を嗅ぎつけたセキが現れ「私たちの邪魔をしないで」という言葉に激怒し、チガヤを屋根裏部屋から突き落としてしまう。

第14話「ウシハクの恋」

突き落とされてボロボロになったチガヤをセキが天井に吊し上げ、傷口に塩水を流して「いつから俺を裏切ったのだ」と詰め寄る。そして過去に自分を虐待した父親の裏切りを語り、チガヤを折檻して「禊」と言う。セキは矛でチガヤを貫こうとするが「交叉」した刈萱に「おまえの恋は、ウシハクの恋だ」と告げ止めるが、途中で意識が消えてしまう。

第15話「旅立ち」

意識を失い眠るチガヤを、伊集院のもとで看病させるセキ。伊集院は「刈萱」については孤独が生み出しだ妄想だと言ってセキを安心させようとするが、セキは納得できない。たとえ幻であっても刈萱に嫉妬してしまうセキは、苦しみに胸が引き裂かれそうになりながらも、チガヤの願いを叶えるために彼女を背負って刈萱探しの旅に出る。一方、チガヤは姉・あよと夢の中で出会っていた。「旅」はセキにとって必要な試練だと告げる。

■登場人物の紹介

チガヤ(千茅):19歳。血のつながらない兄たちに結納金目当てで、山林を持つセキの元へ嫁がされた。身寄りがなく、幼いころに引き取られた。姉はあよ、妹はメグリ。

セキ:金持ちの地主だが、顔が醜いことにコンプレックスを抱き、チガヤに執着し、異常な嫉妬心を抱く。山の主で「主様(うしさま)」と呼ばれている。母親がセキを産んだことで亡くなったため、父親に憎まれ折檻されて顔に傷を負った。

刈萱(かるかや):16歳。姉がひとりいる。「遠くへの憧憬」をテーマにした作品をつくる彫刻家の少年。生まれつき盲目だったが、チガヤの眼とつながる。文字を思い浮かべることでチガヤと会話できる。

多芸志:(たぎし)刈萱の姉。弟の仕事のサポートをしている。男性アレルギーで吐いてしまう。「無駄に女で面目ねェ」が口癖。

伊集院:病院の看護師長の女。副業でエンゼルメイクの仕事をしており、セキに接近する。

■コメント

美貌の姉・あよと異なり、チガヤはそばかすのある地味な少女です。けれど、夫となったセキは彼女を熱愛し、視力を失ったあとでも「身も心も自分のものに」しようと画策します。

セキの情熱は滑稽でさえあるものの、愛とは本来このようにみっともないものであるのかも、と思えてきます。チガヤは一度はセキに恋をしかけていたのに、異常な嫉妬心のせいで彼から心が離れ、失った視力を通して知り合った少年・刈萱に惹かれていきます。

セキの愛し方が不器用すぎて、「チガヤ、そんなに冷たくしないで」とかわいそうになってきました。

■作品への評価

顔の美醜をテーマにした夫婦愛の物語「愚者の皮」のヒロイン・あよの妹にあたる、チガヤをヒロインとした作品。前作とは反対に、醜い顔の夫をチガヤは愛せるのか。

そして夫の執拗な嫉妬心と、「遠くへ行きたい」という妻・チガヤの思いがぶつかり合う中で、『刈萱』という不思議な少年の存在が物語をファンタジックに染め上げていきます。

連載中の作品なので最終的な評価は控えますが、草野誼先生独特の世界観がファンにとってはたまらないお話です。

 

 

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